世界の国々や地域には、それぞれ民族、歴史、文化、伝統などと一体となって生まれ育まれた様々な酒類が存在しています。
(1)酒税法上、酒類を「アルコール分1度以上の飲料(薄めて1度以上の飲料とすることができるもの又は溶解して1度以上の飲料とすることができるものを含む。)」と定め、その種類として「発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類」があります。
発泡性酒類 ・・・ ビール、発泡酒
醸造酒類・・・ ワイン、シードル、老酒
蒸留酒類・・・ ブランデー、ウイスキー、ウオッカ、ジン、ラム
混成酒類・・・ ベルモット、リキュール
なお関税法ではアルコール飲料を「アルコール分が0.5%超の飲料」とし、食品衛生法では酒精飲料を「酒精分1容量パーセント以上を含有する飲料(溶解して酒精分1容量パーセント以上を含有する飲料とすることができる粉末状のものを含む。)」としています。
(2)輸入のしくみ
酒類を輸入し販売しようとする者は、酒税法第9条により、酒類の販売業の免許が必要です。輸入するためには、関係書類を取りそろえて税関に輸入申告をしなければなりません。税関によって輸入の許可を受けた貨物は、内国貨物となり、国内の流通過程に入ることとなります。
現在、わが国では規制緩和が進み、比較的自由にいろいろな商品を輸入することができるようになりました。
しかし、商品によっては輸入が禁止されているものや、承認や許可などの手続が必要なものがあります。輸入規制のある商品を輸入する場合には事前に手続を完了しておく必要があります。 通関手続の流れの概要について示すと以下のとおりです。
①通関業者に輸入通関手続を依頼する。
②輸入商品が保税地域に搬入される(関税法第29条、30条)。
③輸入申告書が作成され、通関手続が行われる(同法第7条)。
④ 税関は審査・検査を行い(同法第69条)、関税・消費税の納付(同法第72条)後、
輸入許可書を発行する(同法第67条)。貨物の引取が行われる。
⑤国内に流通し、店頭へ。
これまで引取申告後に納税可能な簡易申告制度を利用して輸入申告(特例申告)を行う際には(関税法第7条の2)、必ず引取担保を提供しなければなりませんでしたが、平成20年度から、関税等の保全のために必要と認められた場合にのみ、担保(保全担保)を提供することとなります。
また、特例輸入者は、貨物の到着前の引取申告及び輸入許可を受けた月の貨物の一括特例申告が可能です。
さらに特別通関手続として輸入許可前引取制度があります(関税法第73条)。普通の手続によって輸入申告を行うとともに、「輸入許可前引取申請書」を提出し、暫定的に示された輸入税額相当の担保額を供託し、その供託書を税関に提出します。承認書を得て、貨物を引き取り、後日、関税の正式決定、納付を経て、輸入許可書が発行されると、担保が解除され、又は供託金が納税充当されて、供託書が返還されることとなります。