輸入洋酒とは・・・
リキュール
一般的には、スピリッツ(蒸留酒)に、果実、香草、花などの香味成分を抽出させたり付与したり、あるいは、砂糖・シロップ等の甘味を加えたり着色して仕上げた酒を「リキュール」と呼んでいます。
ちなみに、輸入リキュールは、主にリキュール発祥のヨーロッパから多く輸入していますが、EUにおけるリキュールの定義は右表のとおりです。
リキュールの起源は、スピリッツの起源に関係しています。11世紀~13世紀、錬金術師たちは「金」を生み出すために、様々な物質の抽出技法を研究していましたが、そのひとつとして生み出されたのがスピリッツ(蒸留酒)です。スピリッツは当初、飲用以外に薬用としても重宝されましたが、それが発展し、スピリッツに薬草の成分を溶かし込み、薬用成分をもつ「水薬」のようなものが誕生しました。これがリキュールの起源とされています。
大航海時代を向かえ、世界中の産物がヨーロッパにもたらされるようになり、リキュールの原料も多様化していきました。これにより様々なリキュールがつくられるようになり、カクテルや菓子などの材料として用途が広がっていきました。
リキュールは、芳香性原料の種類によって、香草・薬草系、果実系、種子系、特殊系に分類されています。
蒸留酒に香草や薬草などの草根木皮の成分を抽出させたもの。様々なタイプの中では最も古いタイプと言え、元来薬用効果を目的として誕生しました。アブサン、シャルトリューズ、ベネディクティン、パスティス、アニゼット、カンパリなどがあります。
フルーツを原料とし、薬用効果よりもその味や香りを楽しむことに重点が置かれてつくられています。単一のフルーツのみで味わいを出すことは難しいため、数種類の果実やスパイスなどを補助原料として使用することが多いです。キュラソー(トリプル・セックなど)、クレーム・ド・カシス、チェリー・ブランデー、ポワール・ウィリアムなどがあります。
コーヒー、カカオ、バニラなど、果実の種子の香味成分を抽出してつくられ、濃厚な味わいが特徴です。食後酒や製菓用としても広く使われています。アマレット、クレーム・ド・カカオ、バニラなどがあります。
上記の (1) ~ (3) 以外の原料、植物系以外の成分を溶け込ましてつくられるリキュール。クリーム、ミルク、卵黄などが原料となり、クリーム・リキュール、アドヴォカート、キャラメル・リキュールなどがつくられます。
リキュールには様々な原料があるため、製造方法も様々ですが、下記に挙げる4つの製法が基本で、この4つの製法で得られる原液をいくつかブレンドしてつくるリキュールもあります。
アニスやキュラソーの原料となるオレンジ果皮などの乾燥原料の香味成分を抽出する製法。原料を中性アルコールと共に蒸留しアルコール分と一緒に成分を抽出します。
カシスなどの果実原料の香味成分を抽出する製法。果実を中性アルコールに数日~数ヶ月に亘り浸漬し、ろ過した液体が原液となります。カシスの他、アプリコット、チェリー、洋ナシ、バニラなどはこの製法により成分抽出を行います。
カンパリのように、原料を温水に漬け込み、更にベースとなるアルコールに浸漬し香味成分を抽出する製法。
コーヒー・リキュールのように、熱湯に原料を循環して香味成分を抽出する製法。
リキュールは元来“薬用酒”として利用されてきました。その後様々な芳香性原料の特性により、香りや味を楽しむもの、カクテルや製菓では色や風味付けに使用されるものなど、幅広い用途・目的に利用されています。
また、最近では家庭でも簡単にカクテルがつくれるよう味わいが調合されているリキュールも販売されており、ソーダや果汁飲料などで割るだけで簡易カクテルも楽しめます。
世界には実に様々なリキュールがつくられており、利用する機会や場所、また、自分の好みに合わせて各種のリキュールを大いに楽しむとよいでしょう。