輸入洋酒とは・・・
スピリッツ
「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の中で「蒸留酒」になるものを総称でスピリッツと言います。
もともと醸造酒でつくられたお酒を蒸留するとアルコールの高い蒸留液が生まれます。これがスピリッツになります。ウイスキーやブランデーも大麦やブドウからつくられた醸造酒を蒸留し、特定のスピリッツをつくります。それを熟成やブレンドしていくことで、それぞれの製品に仕上げていきます。
ただし、このように蒸留工程でつくられた“スピリッツ”は、一般的に4大スピリッツとして理解されることが多いです。ご存知のとおり、ジン・ウォッカ・ラム・テキーラがそれに該当します。
蒸留酒の文化は、古くヨーロッパから広まり、多種多様に変化をとげてきました。
しかし、この4大スピリッツだけは、現在もなおスピリッツの王道として進化を続けています。
穀物を原料とし発酵したものを蒸留し、ジュニパーベリーを中心とした香味植物(ボタニカル)を加えて再蒸留したものを言います。
1600年代にオランダの大学で熱病の特効薬として、ジュニパーベリーをアルコールに浸し、蒸留を行ったことが始めとされています。その後、オランダの国民酒となり1600年後半にはイギリスに伝わっていきました。19世紀には、蒸留技術の進歩にともないロンドンドライジンが誕生しています。
トウモロコシ、小麦、大麦などの穀類、ジャガイモなどのイモ類を原料として糖化、発酵、蒸留して得られたスピリッツを白樺炭でろ過した蒸留酒です。純度の高いニュートラルスピリッツと白樺活性炭を活用したろ過技術が求められます。
ウォッカの正確な起源は不明ですが、ロシアでは12世紀頃から飲まれていたと言われています。また、1810年、セントペテルスブルグの薬剤師アンドレイ・アルバーノフがウォッカを白樺の炭でろ過する方法を開発しました。この発見により、ウォッカは活性炭ろ過によるくせのないすっきりしたお酒という個性を確立させました。
また、ウォッカと聞くとロシアが有名かと思われますが、アメリカが生産量世界一であることを知っておきたいものです。1933年禁酒法が解禁され製造もあわせてアメリカで行うことによりカクテルのベースとしては欠かせないスピリッツとして成長を遂げました。
サトウキビの搾り汁を煮つめて、砂糖を結晶させた後の糖蜜を原料とし、発酵、蒸留、熟成の工程を経てつくられる蒸留酒です。
コロンブスの西インド諸島発見以降、カリブ海の島々はヨーロッパの植民地となり、砂糖工業が発達し、ヨーロッパ向け砂糖の供給地となりました。この砂糖の副産物である糖蜜を原料にして、スペイン人が16世紀初めに、イギリス人が17世紀初めに蒸留酒をつくったのがラムの始まりとされています。
また、植民地統治をした国々のお酒の影響を受けており、様々なタイプのラムが存在します。主に風味と色で分類されることが多いです。
・風味による種類
(1)ライト・ラム 連続蒸留式で製造
(2)ミディアム・ラム 連続蒸留式で製造
(3)ヘビー・ラム 単式蒸留機製造
・色による分類
(1)ホワイトラム 淡色、無色
(2)ゴールドラム 樽貯蔵
(3)ダークラム 濃褐色(ジャマイカ産に多い)
メキシコの代表的なスピリッツ。ブルー・アガべ(竜舌蘭)の茎を51%以上使用し、蒸煮、圧搾、発酵させた後、単式蒸留機で2回蒸留したものです。
竜舌蘭には、約300種あると言われています。テキーラと呼ばれるためには、アガベ・テキラーナ・ウェーバー(ブルーアガベ)の使用が必要。他のアガベでつくられたスピリツは、メスカルと言います。また、5つの州の生産地を限定としたため、それ以外の州でつくられたものは「ピノス」と呼ばれます。
5つの州の写真
テキーラは植民地時代にスペインの蒸留技術によって生まれました。当時は、メスカルとして飲まれていましたが、1900年初めにテキーラ作りに最適な竜舌蘭が現在のアガベ・テキラーナ・ウェーバーとして指定されたこと、そしてテキーラ村周辺で起きた天災説(最適なアガベが発見されました)によって「テキ―ラ」と呼ばれるようになりました。
写真提供:オルメカ蒸留所
テキーラには、以下5つのタイプがあります。
(1) シルバーテキーラ(ブランコ) 熟成期間なし
(2) ゴールドテキーラ(ゴールド) 熟成期間なし、もしくはブランコにエイジドテキーラがブレンドされるとゴールドにもなります。
(3) エイジドテキーラ(レポサド) 最低2ヶ月熟成したもの
(4) エキストラ・エイジド・テキーラ(アネホ) 最低1年は熟成したもの
(5)ウルトラ・エイジド・テキーラ(エキストラ・アネホ) 最低3年は熟成したもの
出典:OFFICIAL MEXICAN STANDARD NOM-006-SCFI-2005
(1) ジン 主に3種類のタイプのジンが存在します。
・ ジュネバ(オランダジン)は、トウモロコシ、ライ麦などの穀物を原料としてポット蒸留を2~3回行った後に草根木皮を加え再度蒸留します。
・ シュタインヘーガー(ドイツのジン)ジュニパベリーとグレーンをそれぞれ別々に蒸留し、その後にブレンドをします。仕上げに単式蒸留を行います。
・ ドライジン(ロンドンジン)は連続蒸留したグレーンスピリッツに草根木皮を加え蒸留を行います。また、蒸留時に発生する蒸気で香味付けをする方法もあります。
(2) ウオッカ
昨今、蒸留回数を増すことや、ろ過技術を工夫するなどのプレミアムウォッカが
日本でもポピュラーになっています。
また、海外では香りをつけたり糖分を加えた(日本では、糖分2%以上の場合、リキュールになります)フレーバードウォッカもあります。
(3) ラム
サトウキビの糖蜜(モラゼズ)を発酵させ蒸留、(熟成)させますが、
発酵には、自然発酵でつくられるものがあります。
※ 4大スピリッツの中で唯一糖化を必要としないスピリッツ。
※ また、フレーバードラムなどの香味成分を加えたラムがアメリカを始め世界中で人気。
(1) ジン
・ 無色透明で、杜松の実特有の香りがあります。マティーニなどのカクテルベースとして広く親しまれています。
・ ジュネバやシュタインヘーガーは風味が濃厚で原料とした麦芽の香りが残っているものが多く、よく冷やしたストレートの状態で風味が楽しめます。
(2) ウオッカ
・ スピリッツの中でもっともくせのない風味を有し、まろやかな爽快感を特徴とし、多くのカクテルベースとして幅広く飲用されています。
・無色透明でニュートラルな風味をもつレギュラータイプが一般的ですが、ズブロッカ草の香りをつけたものなどもあり、ストレートやロックで楽しめます。
また、プレミアムウォッカについてもカクテルに活用するほかにウォッカそのものを楽しむため、ストレート、ロック、ソーダ等で飲むこともあります。
(3) ラム
・ 色々なタイプのラムが存在します。カクテルにも幅広く使われますが、ストレートやロックなどでゆっくり味わいながら楽しむことができるのもラムの特長です。
(4) テキーラ
・ 塩とライムと一緒にショットで飲むことがよく知られていますが、テキーラが世界中に名を広げたきっけかけは、やはり名品の「マルガリータ」。現地では、マルガリータのほかにグレープフルーツの炭酸と合わせた「パロマ」や、「サングリータ」と言うトマトジュースにオレンジやライムを加えたスパイシーな飲み物と合わせたものを、ゆっくり飲みながら楽しんでいます。
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